雑草にはさまざまな種類があり、それぞれに対策が異なります。

効果のある除草剤もさまざまで、どれを使っていいのか悩んでしまうかもしれません。

除草剤は大きく分けると2種類。雑草が生える前の土に散布する土壌処理型と、すでに生えている植物に使用する茎葉処理型があります。

こちらの記事では、すでに生えている雑草を駆除するための茎葉処理剤を中心に、季節ごとの雑草対策を紹介していきます。

春に生える雑草9種とおすすめ駆除方法

芽吹きの春は、雑草対策に絶好の季節です。

スギナ

スギナはトクサ科の多年草です。

ツクシの親のように認識されていることもありますが、ツクシはスギナの胞子茎。スギナは胞子・根茎・塊茎と3通りの繁殖方法を持つ、非常に厄介な雑草です。

地上の葉を取り除いても、地下に根茎と塊茎がある限り再生します。草刈りの際に胞子が飛び散ると、更なる繁殖を生むこともあります。

スギナの駆除には、根まで枯らすグリホサート系の除草剤を使用しましょう。草丈が20~30cmに生えそろう、5~6月頃の散布が効果的です。

スズメノカタビラ

スズメノカタビラは、イネ科の一年草。

日当たりが良ければ季節を問わず花をつけるため、種子の落下も頻繁です。そのため、根絶の難しい雑草となっています。

株が小さなうちは、草抜きでの対応も可能です。その場合は根を残さないようにしっかり取り除くようにしてください。

スズメノカタビラには、イネ科用の除草剤の効果が出にくいことがあります。除草剤のラベルを確認し、スズメノカタビラを対象としたものを選びましょう。

グリホサート系やグルホシネート系の除草剤も有効です。

ブタナ

ブタナはキク科の多年草です。最盛期は5~6月で「タンポポモドキ」という別名もあります。

地中深く根を張って、地上部の茎や葉を取り除いても根が残るとすぐに再生します。

ブタナを手で引き抜くときは、除草用のカマやフォークを使用して根を残さないように気を付けましょう。

除草剤を使うなら、根まで枯らすグリホサート系をおすすめします。

セイヨウタンポポ

セイヨウタンポポはキク科の多年草。春の風物詩のようなイメージですが、開花する可能性は年中あります。

受粉をしなくても種子を作れるうえ種子を風で飛ばすため、発生場所が拡大しやすく根絶の難しい雑草です。

根は50~100cmほども深く伸び、取り残すと再生してしまいます。手で引き抜いて除草する際は、しっかり根まで取り除きましょう。

除草剤は、グリホサート系がおすすめです。

ヨモギ

ヨモギはキク科の多年草です。高さは50~100cmほどで、8~10月には黄色い花をつけます。

食用や薬用にも利用されますが、なかなか厄介な雑草です。

ヨモギの地下茎は、ほかの植物の発芽を抑制する成分(アレロパシー)を分泌するからです。

しかも、ヨモギは強い生命力を持っています。根に栄養を溜めんで茎や葉が枯れても再生し続けるため、草抜きや草刈りでの駆除はかなり困難です。

ヨモギの駆除には、グリホサート系の除草剤をおすすめします。

ホトケノザ

ホトケノザはシソ科の一年草です。高さは30cmほどで、3~5月に濃いピンクの小さな花を咲かせます。

春の七草のホトケノザはキク科のコオニタビラコのことを指し、このホトケノザとは別の植物です。

ホトケノザを駆除するなら、除草用のカマやフォークで根ごと取り除きましょう。

除草剤を使用するなら、グリホサート系またはグルホシネート系がおすすめです。

オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリはゴマノハグサ科の一年草。草丈は30~50cmで、春先にかわいらしい水色の花を付けます。

株が小さいうちは、手で引き抜くことも可能です。

除草剤を使用するなら、根まで効果のあるグリホサート系が適しています。

タネツケバナ

タネツケバナはアブラナ科の越年草です。3~5月に白い花を咲かせます。

両性花で自家受粉するため増殖しやすいですが、比較的対処しやすい雑草。やわらかい土に生えることが多いので、手で引き抜くことも難しくありません。

梅雨入り後と9~10月頃、草の伸びたあとが除草の適期です。根を残さないようにしっかり引き抜きましょう。

除草剤を使用するなら、グリホサート系がおすすめです。

チガヤ

チガヤはイネ科の多年草。5~6月に稲のような白い穂を付けます。

根に栄養を溜め込む性質で、どんなに刈り取っても根が残っている限り再生する厄介な雑草。

チガヤの駆除は5月より前に、根こそぎ行うことが大切です。

除草剤はイネ科の雑草用、またはグリホサート系を定期的に散布すると効果的です。

夏の雑草対策は?夏に生える雑草11種類

草木が勢いよく成長する夏は、手ごわい雑草も発生します。

ドクダミ

ドクダミはドクダミ科の多年草。ハート型の葉に白い花をつけます。

古くから薬やお茶にも用いられてきた有用性の高いドクダミは、地下茎を横に伸ばして増殖する厄介な雑草でもあります。

地下茎が少しでも残っていると再生する強い生命力を持っているため、草むしりだけでは駆除できません。

グリホサート系の除草剤を、花が咲き始める前の5~7月に散布すると効果的です。

オヒシバ

オヒシバはイネ科の一年草です。冬には一度枯れますが、種子が地中に残るため春には再生。アスファルトの隙間にでも生えてくる、強い生命力を持っています。

根はそれほど深くないので手で抜くことも可能ですが、量が多いときは除草剤を使用しましょう。

オヒシバの駆除には、イネ科の雑草を対象とした除草剤が適しています。

コニシキソウ

コニシキソウはトウダイクザ科の一年草。四方八方に枝分かれした茎から根を出し繁殖します。

手で引き抜くこともできますが、その際は必ず手袋を用意しましょう。

というのは、コニシキソウの茎を切ると出てくる白い液が皮膚につくと、痒みやかぶれを引き起こすことがあるからです。

肌の敏感なかたには、グリホサート系の除草剤の使用をおすすめします。

カタバミ

カタバミは、クローバーのような葉を持つカタバミ科の多年草です。種子と匍匐茎で繁殖し、種は1m以上も飛ばします。

芝生を枯らしてしまうこともありますので、増えてしまう前の除草が大切です。

カタバミの葉や茎はちぎれやすいため、手で引き抜くのは困難です。

草抜き用の道具で根ごと処理するか、グリホサート系の除草剤を使用しましょう。

ヤブガラシ

ヤブガラシはブドウ科の多年草です。ツルは2~3mまで伸びます。

6~8月に花をつけたあと小さな実がなりますが、実に集まる虫を狙ってスズメバチが寄ってくるリスクも。早めの対処がおすすめです。

根に栄養を溜め込むヤブガラシは、葉やツルをきれいに取り除いてもすぐに再生してしまいます。

グリホサート系の除草剤が最適といえます。

ササ

ササはイネ科の多年草です。パンダの好物としてかわいいイメージもありますが、雑草としてはかなり厄介な存在です。

ササの地下茎は成長速度がすさまじく、しかも広範囲に広がります。がんばって草むしりを続けても、終わりのない「いたちごっこ」となることが多いでしょう。

ササの駆除には、根まで枯らすグリホサート系除草剤が最適です。

クズ

クズはマメ科の多年草。葛餅や葛根湯にも用いられますが、アメリカでは有害植物とされているほど厄介な雑草です。

養分を蓄えた根のことを「塊根」といいますが、クズの塊根はサツマイモほどの太さになることも。

たっぷり溜め込んだ塊根で成長を続けるから、草刈りや草抜きでは太刀打ちできません。

除草剤も効きにくいとされていますが、使用するならグリホサート系の除草剤を。クズ専用のクズコロンやケイピンエースといったクズ専用の除草剤も開発されています。

メヒシバ

メヒシバはイネ科の一年草。どこでも自生できる生命力をもち、夏から秋にかけて爆発的に広がります。

細かい根を横に広げて成長し、ほかのの植物の成長を妨げる「アレロパシー」を出す困り者。

根は浅いので手で引き抜くことも可能ですが、種が付きだすと厄介です。草抜きの際に種を落としてしまうと、メヒシバの繁殖を助けていることになりかねないからです。

大きくなったメヒシバは、除草剤での駆除をおすすめします。イネ科に有効な除草剤を選び、メヒシバが大きくなる前に散布しましょう。

ハマスゲ

ハマスゲは、カヤツリグサ科の多年草です。道端や駐車場などどこでも自生。アスファルトを押し上げて生えるほど強い生命力を持っています。

種子で増えるだけでなく塊茎からも発芽するため、繁殖スピードも驚異的。

草刈りの際に塊根を切ってしまうと、その断面からも発芽するゾンビのような雑草です。

ハマスゲを駆除するには、根まで枯らす必要があります。グリホサート系除草剤が最適です。

オオバコ

オオバコはオオバコ科の多年草。硬い土壌に生えていることが多く、手で引き抜くのは困難です。

駆除にはグリホサート系の除草剤を使用しますが、グリホサート系でもオオバコの根には効果が出にくいとされています。

除草剤の効果を最大限に引き出すには、指定された薬量を守ることが大切です。除草剤のラベルに記された薬量を確認し、念入りに散布しましょう。

イタドリ

イタドリはタデ科の多年草。新芽は山菜として食べられることもあります。

種子と地下茎で繁殖する、駆除の難しい雑草です。太い地下茎を四方に伸ばし、地中から芽を出して増殖します。

根が残っている限り再生を続けるイタドリには、根まで枯らすタイプの除草剤を使用しましょう。

グリホサート系の除草剤が効果的です。

秋に生える雑草の種類と効果的な駆除方法

秋の雑草対策では、種子を落とさないように気を付けましょう。

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウはキク科の多年草。繁殖力の非常に強い雑草です。地下茎は花が枯れても地中で生き続け、越冬して再び発芽します。

根を張る力が強いため、手で引き抜くのは困難です。除草用のカマやフォークを使用するか、グリホサート系の除草剤がおすすめです。

カヤツリグサ

カヤツリグサ科の一年草。種を落としてはどんどん繁殖する厄介な雑草です。地下茎からすぐに新しい茎が伸びるため、根こそぎ駆除する必要があります。

手で引き抜くときの注意点は2つです。根を残さないことと、種を落とさないこと。

除草剤を使用するなら、グリホサート系のものがおすすめです。

エノコログサ

エノコログサはイネ科の一年草。「ねこじゃらし」と呼ばれる雑草の一種です。

根は深くないため、手で引き抜いての除草も難しくありません。その場合は種を落とさないように、穂が付く前に行いましょう。

除草剤はイネ科用のもの、またはグリホサート系が適しています。

オオアレチノギク

オオアレチノギクはキク科の一年または二年草。夏によく育ち、秋には白い花を咲かせます。

生育初期は草抜きで対応できますが、増えすぎたオオアレチノギクには除草剤で駆除しましょう。

グリホサート系またはグルホシネート系の除草剤が効果的です。

ススキ

ススキはイネ科の多年草です。秋の風物詩でもあり、厄介な雑草の代名詞でもあります。

種子を飛ばして繁殖するだけでなく、横に伸ばした地下茎から新しい芽を発芽。地下茎に栄養を溜め込む性質で、地上に出ている茎や葉を刈り取るだけではすぐに再生してしまいます。

手で引き抜いて駆除するなら、種子が付く前に行いましょう。

除草剤はイネ科用、またはグリホサート系が適しています。

アキノノゲシ

アキノノゲシはキク科の一年または二年草です。黄色くかわいい花を付けますが、しつこい雑草としても知られています。

手で引き抜く際は、根が残らないように気を付けましょう。

除草剤ならグリホサート系がおすすめです。

ヒメムカシヨモギ

ヒメムカシヨモギはキク科の一年草。オオアレチノギクとよく似た雑草です。綿毛で種子を飛ばすため、発生場所が広がりやすいの特徴があります。

除草は種子を付ける前に行いましょう。根ごと抜いてしまうか、グリホサート系またはグルホシネート系の除草剤の使用がおすすめです。

チカラシバ

チカラシバはイネ科の多年草です。茎の先にブラシのような穂を付けます。

種子と地下茎の両方で増える、強い繁殖力を持ったチカラシバ。根の張りがとても強いため、手で引き抜くことは容易ではありません。

チカラシバの駆除には、グリホサート系の除草剤が適しています。

冬にも雑草対策は必要?冬に生息する雑草の種類

冬には勢いを弱める植物の多い中、活動を続ける雑草もあります。

ゼニゴケ

ゼニゴケ科のゼニゴケは、強い生命力の持ち主。冬でも枯れることはなく、胞子を飛ばして増殖します。

ゼニゴケは害虫を引き寄せることもあるため、早めの対策を取りましょう。

ゼニゴケの駆除法でもっとも手軽に行えるのは、スコップなどで削り取ることです。熱湯をかけたり、スプレー容器に酢を入れて噴射したりする方法もあります。

除草剤を使用するなら、ゼニゴケ専用のものが効果的です。コケには通常の除草剤では効果が出ませんのでご注意ください。

スナゴケ

キボウシゴケ科のスナゴケは、日当たりの良い場所を好みます。

鑑賞用としても人気のある苔ですが、コンクリートの割れ目や石垣にも生息できる生命力と高い繁殖力を持っているため大量発生することもあります。

スナゴケの駆除法はゼニゴケと同じく、スコップなどで削り取ることも効果的。熱湯や酢にも効果が期待できます。

駆除剤はコケ用のものの中から、スナゴケに対応しているものを選びましょう。

まとめ

季節を問わず発生する雑草。繁殖の強い雑草には早めの対策が大切です。

今回は、雑草をとにかく駆除する方法を紹介しましたが、発生する環境によっても雑草対策は異なります。

たとえば、芝生の中の雑草には芝生に害を与えない除草剤が適していますし、菜園の近くの雑草には菜園に影響を与えない方法で除草剤を散布します。

雑草の種類はもちろん発生した環境も考慮して、最適な駆除方法を選んでくださいね。