台風や強風で庭の木が倒れたら、できるだけ早く対処することをおすすめします。倒木を放置しておくと、二次被害を引き起こす可能性があるからです。
場所によっては歩行者や車の迷惑となりますし、傾いた木がさらに倒れて誰かにケガをさせてしまうかもしれません。
また、倒れた状態が長く続くと庭木は弱ってしまいます。すぐに植え直せば再生できる庭木でも、放置しているとうまく育たなくなってしまうのです。
ですから庭の木が倒れたら、早めに対処していきましょう。
この記事では、修復できる倒木の条件や倒れた庭木を起こす方法、そして処分する方法を紹介していきます。
また、倒木の処理を業者に依頼するとかかる費用についても解説しています。倒木の対応にお困りなら、ぜひ参考にしてみてください。
復旧か伐採か。起こして再生させられる倒木の条件
大切な庭木が倒れてしまったら、できることなら起こして植え直したいことでしょう。でも、残念ながらどんな状態の倒木でも復旧させられるわけではありません。修復できる倒木には、次のような条件が必要です。
・幹が折れていないこと
・根が大きく割れていないこと
・倒れてから日数がたっていないこと
大きく破損した樹木は、植え直しても再生できないケースがほとんどです。幹がボッキリ折れてしまったり、根が大きく割れてしまったりした庭木は、伐採して処分するしかありません。
伐採には、ノコギリやチェーンソーを使用します。幹や枝を細断し、自治体のルールに沿って処分しましょう。
また、倒れた庭木を起こして植え直す作業は、できるだけ早く行う必要があります。
というのは、根が土から出て乾燥してしまうと庭木はどんどん弱っていくからです。ですから根が乾いてしまわないうちに庭木を起こし、根を土の中に戻す必要があります。
その日のうちに植え直すのが理想的ですが、現実問題としてすぐには対応できないこともあるでしょう。そんなときは見えている根に土をかけて、乾かないようにカバーしておくことをおすすめします。
このほかにも、倒木の対処をすぐにできないときには施しておきたい応急処置があります。
次は、倒れた庭木からの被害を拡げないための、応急処置法を紹介していきます。
倒れたり傾いたりした庭木の応急処置方法
庭木が倒れてしまっても、すぐに対処できるとは限りません。
伐採しようにも道具がないこともあるでしょうし、植え直せるかどうかの判断が難しいこともあるでしょう。
造園業者や植木屋に相談しても、すぐには対応してもらえないこともあります。
とはいえ、倒木を長く放置していると、二次被害を招いてしまう可能性が否めません。傾いていた木がさらに倒れて人にケガを負わせたり、倒れた木が原因で事故を引き起こしたりすることも考えられます。
そんな事態をできるだけ避けるために、次のような応急処置を施しておきましょう。
・樹木の上部を剪定する
・ロープで縛って固定する
・仮の支柱を立てる
倒れた庭木に葉が茂っている場合は、剪定をおすすめします。特に上部の葉や枝を切り落として軽くすることで、傾きが悪化するリスクを減らせるからです。
また、ロープで幹や枝を縛りしっかりした場所につなぐことで、それ以上倒れてしまったり転がったりすることを避けられます。
仮の支柱を立てて支えることも、二次被害防止に効果的といえるでしょう。
応急処置をしておけば、しばらくは安心かもしれません。でも、応急処置は、あくまでも「とりあえず」の対処法です。応急処置をしたからと放置せず、できるだけ早く対処しましょう。
次は、倒れた庭木を起こして植え直す方法を紹介していきます。
倒木を復旧させる方法。起こし方と植え直す手順
倒れた庭木を起こして植え直す場合は、次のような手順で作業していきましょう。
1.剪定して枝葉を減らす
2.庭木が傾いている方向と反対の根の下を掘る
3.倒れた庭木を起こす
4.支柱を設置する
5.土を固めて水やりをする
それぞれの作業について、詳しく説明していきます。
1.剪定して枝葉を減らす
まずは庭木を剪定します。倒れた庭木は、根にダメージを受けている可能性が高いからです。弱った根とのバランスを取るために、枝や葉を減らして負担を減らしてあげましょう。
剪定には、重量を減らして起こしやすくする目的もあります。
2.庭木が傾いている方向と反対の根の下を掘る
庭木を起こす前に、傾いている方向と反対側の根の下を掘ります。根の一部が土に埋まった状態でいきなり起こしてしまうと、根を傷めてしまうからです。
また、埋まっている側の根が邪魔となり、庭木をまっすぐに立てられなくなることもあります。ですからいきなり倒木を起こさずに、根を自由に開放するのです。
土を掘っている間に庭木が倒れてこないよう、注意しながら作業しましょう。
3.倒れた木を起こす
次に、倒れた庭木を起こします。人力で起こせない庭木には、パワーウィンチを使用しても良いでしょう。
樹木は非常に重いので、十分気を付けて作業してください。
4.支柱を設置する
倒木を元の位置に戻せたら、支柱を立てて庭木を支えます。
支柱の種類は何でもかまいませんが、八掛け支柱や鳥居支柱がおすすめです。
庭木から新たな根が伸びるまでは、支柱を添えておきましょう。
5.土を固めて水やりをする
最後に、露出した根を埋めていきます。根が出ないよう土を盛り、しっかり踏み固めましょう。
ダメージを受けた庭木は乾いた状態になっていることが多いので、たっぷり水やりを行います。
水やりを行うと、庭木が傾いたり倒れたりしてくるかもしれません。そんな場合は支柱を立てるところからやり直し、ぐらつきのないように仕上げましょう。
倒木の起こし方を紹介しましたが、個人で復旧させるのは小さな庭木だけにしておくことをおすすめします。
というのは、大きな樹木は非常に重いため、人力で引き起こすことは不可能だからです。パワーウィンチのような道具を使用する手もありますが、その作業には大きなリスクが伴います。
ですから、ある程度の大きさを超えた倒木の復旧は、業者に依頼するほうが安心です。
次は、倒木を伐採する場合の作業方法を紹介していきます。
倒れてしまった庭木を伐採処分する方法
倒れた庭木の伐採処分は、次のような手順で行うと良いでしょう。
1.どこにも接触していない枝を落とす
2.接触部分の幹や枝を切る
3.幹を細かく切る
4.根を掘り起こす
5.掘り起こした穴を埋める
それぞれの工程を、詳しく見ていきましょう。
1.どこにも接触していない枝を落とす
はじめに、どこにも接触していない枝から処理していきます。
このとき注意したいのは、切り落とした枝の行方です。というのは、どこにも接触していない枝は何にも支えられていないからです。
切断が終わる前に、折れて落下することも考えられます。枝を足の上に落としてケガをしないよう、注意しながら作業をすすめましょう。
2.接触部分の幹や枝を切る
次に、隣の樹木や柵などに触れている幹や枝を切り、庭木を地面に下ろしていきます。
この作業には、細心の注意が必要です。切っている途中で幹や枝が裂けたり、大きく跳ね返ったりすることがあるからです。
「この枝を落とすと庭木は大きく動くかもしれない」ということを、常に頭に置いておきましょう。
3.幹を細かく切る
幹を地面に下ろせたら切断していきます。処分しやすい大きさに、小さくカットしてしまいましょう。
伐採には、ノコギリやチェーンソーを使用します。太い庭木の場合は、ノコギリでは歯が立たないかもしれません。電動チェーンソーを用意しておくと便利です。
4.根を掘り起こす
幹を切り終えたら、根を掘り起こします。スコップやシャベルで掘り起こせない場合は、重機を使って掘り出します。
掘り返した根は扱いやすいサイズに切断し、自治体のルールに従って処分してください。
そして、根を取り除いた場所の穴に土を入れてふさぎ、危険のないように処置しておきましょう。
倒れた木を切断するだけの伐採なら、簡単にできると思われるかもしれません。
でも、倒木の伐採もまた危険を伴う作業です。傾いている庭木が、予期せぬときに倒れてくるかもしれません。すでに倒れている庭木でも、ノコギリを入れた瞬間に予想外の方向へ跳ねる可能性もあります。
特に大きな倒木の伐採は、業者に依頼したほうが安全といえるでしょう。
次は、倒木の復旧や処分を業者に依頼するメリットについて紹介していきます。
倒木の復旧や処分を業者に依頼するメリット
倒木の処理を業者に依頼することには、いくつかのメリットがあります。
1つは安全なことです。
大きな倒木の場合は特に、起こすにも伐採するにも大きな危険が伴います。万一作業中に事故を起こしてしまえば、責任を問われることにもなるでしょう。
でも、業者に依頼すれば、そんな心配はいりません。
また、業者に依頼すると手間がかからないのもメリットです。
たとえ小さな庭木でも、土を掘って引き起こし、きちんと植え直すにはそれなりの手間がかかります。自治体のルールに合わせて幹や枝をカットするのも、なかなか面倒な作業です。
その点、業者にお任せしてしまえば、すべての作業をプロに行ってもらえます。
さらに、倒れてしまった庭木を再生できるかどうかの判断に迷うこともあるでしょう。
素人には不可能かと思えるレベルに破損していても、植え直せば復活する庭木もあります。
業者なら、そんな相談にも乗ってくれるはずです。
次は、倒木の対処を業者に依頼した場合の費用相場について紹介していきます。
倒木の処分を業者に依頼した場合の費用の目安
倒木への対処費用の相場を出すことは困難といえます。倒木の大きさや倒れかた、そしてどのように対応するかで費用が変わってくるからです。
とはいえ、ある程度の目安があれば、業者へ相談する際の参考となるでしょう。ですからここでは、復旧と伐採処理にかかる費用の一例を紹介していきます。
まずは、倒れた庭木を起こして植え直す作業にかかる費用です。
倒れた庭木の修復にかかる費用
倒れた庭木を起こす作業には、次のような費用が発生します。
・剪定代
・剪定ごみの処分費用
・庭木を立て直す作業費用
・重機使用料
・支柱設置費用
ある業者では、高さ3mほどのオリーブを復旧させた事例を紹介しています。作業費の合計は34,600円。費用の内訳は次の通りです。
・倒木復旧費用 13,200円
・支柱設置費用 3,850円
・支柱材料費代 4,950円
・ごみ処分運搬費用 3,300円
・土壌改良費用 9,300円
このケースでは、オリーブは人力で起こされています。倒木を起こすためにクレーン車を使用する場合は、重機費用が加算されるでしょう。
では次は、業者に倒木の伐採を依頼した場合の費用の目安を見ていきましょう。
業者での倒木伐採にかかる費用
業者での倒木の伐採には、次のような作業費用が発生します。
・伐採費用
・伐採ごみの処分費用
・重機使用料
ある業者では、高さ5mのモチノキを伐採して処分した事例を紹介しています。モチノキの処分費用の合計は、23,000円でした。費用の内訳は以下のようになっています。
・伐採費用 20,500円
・ごみの処分と運搬費用 3,300円
このモチノキの伐採と処分には、重機は使用されていません。根を掘り起こす際にショベルカーなどが必要なケースなら、重機使用料も加算されるでしょう。
倒木の復旧や処分費用が分かりにくいことで、業者へ相談することをためらってしまうかもしれません。
でも、倒木を放置することにも、個人の力技で対処することにも大きな危険が潜んでいます。
相談や見積もりは、無料で行っている業者がほとんどです。倒木の対処法に悩んでいるなら、まずは応急処置を施して、業者に相談してみることをおすすめします。
まとめ
庭木が倒れてしまったら、できるだけ早く対処しましょう。周囲に迷惑をかけてしまったり、二次被害を引き起こしてしまったりする可能性があるからです。
また、庭木を弱らせないためにも、早めの対応をおすすめします。
とはいえ、倒木の処理は、個人には危険が大きく難しい作業です。二次被害を避けるために倒木を起こそうとして、かえって事故を招いてしまうことも考えられます。
少しでも危険を感じたら、業者へ相談してみましょう。プロに依頼すれば安心安全ですし、植え直せば再生する倒木かどうかの判断も仰げます。
植え直す場合も伐採する場合も、「安全第一」を念頭に倒木の処理を行いましょう。