青々とした芝生は、まるで緑のじゅうたんのようで素敵です。でも、芝生を美しくキープすることは、実はなかなか大変なことといえるでしょう。
というのは、芝生は手入れを怠ると、見映えが悪くなってしまうからです。茶色く変色したり、まばらになってしまったりして、みすぼらしく見えてしまうのです。
健康でつややかな芝生を保つためには、定期的に手入れを行いましょう。
この記事では、芝生に必要なメンテナンスについて解説していきます。また、芝刈りが必要な時期や頻度と、業者に依頼した場合の費用相場についてもまとめました。
定期的に行う芝生の手入れやメンテナンス
芝生を健康に美しく保つには、定期的なメンテナンスが必要です。
芝生に施すべきメンテナンスには、次のようなものがあります。
・施肥(せひ)
・目土入れ
・エアレーション
・芝刈り
それぞれの作業内容について、詳しく説明していきます。
施肥
施肥とは、植物に肥料を与えることです。芝生も根から栄養を摂取して成長するので、肥料が必要となります。
十分な栄養分を与えられた芝生は、密度と発色の良い美しい芝に育つのです。
目土入れ
目土入れとは、芝生の上に3~6mmほど薄く土をかける作業です。芝の成長を促進させるために行います。
また、目土入れには、芝生の凹凸を解消する効果もあります。へこんでいる場所に土を入れて均して調整することで、芝生の面が整い美しく仕上がるのです。地面が平らに均されていれば、芝刈りもスムーズに行えます。
ただし、頻繁に目土入れを行いすぎると、地面が高くなりすぎることもあります。というのは、1度に入れる土は3~6mmほどの薄さだとしても、目土入れを10回行えば3cm~6cm分地面が高くなるからです。
競馬場やゴルフ場なら頻回の目土入れが必要となりますが、個人の住宅の芝生なら、1年に1回程度で十分といえます。
目土入れにおすすめの時期は、芝の成長が活発になる頃です。つまり日本芝なら3~4月、西洋芝なら9~10月が適期といえます。
全体的な目土入れは年に1回としておいて、地面の凹凸が気になるときは部分的に目土を入れても良いでしょう。
エアレーション
エアレーションとは、芝生に穴を開ける作業です。土壌の通気性をアップさせて、芝の生育を促すために行います。
人が踏み固めてしまうこともあり、芝生を植えてから時間が経つと土は固くなってしまいがちです。地中では芝生の根や茎が絡み合うこともあり、土壌の通気性は徐々に悪くなっていきます。
土の中の酸素が少ない環境は、芝生にとって良いとはいえません。芝生の面に水が溜まってしまうことも、芝生の成長に悪影響を与えます。
ですからエアレーションを年に1回程度施して、土壌の通気性を良くする必要があるのです。
エアレーションに使用する道具には、ローンスパイクやローンパンチがあります。どちらも体重をかけて地面に突き刺すことで、芝生に等間隔の穴を開けられます。
エアレーションのあとには目土入れを行うと完璧です。
ローンスパイクやローンパンチで開けた穴を目土で埋めることで、土壌の通気性や水はけも改善されます。
地中の環境が良くなって、芝の病気予防にもつながるのです。
とはいえ、穴を開けるエアレーションは、芝生にダメージを与える作業でもあります。
ですからエアレーションは、芝生が元気な時期に行いましょう。芝生の弱る真夏は避けて、3~4月または9月の作業がおすすめです。
芝刈り
芝刈りは、芝生の手入れの代名詞ともいえる作業です。芝生の手入れといえば、芝刈りを思い浮かべる人も多いでしょう。
芝刈りは、密度のある緑のじゅうたんのような芝生を保つために、欠かせないメンテナンスです。
芝刈りをしないで放置すると見た目が悪くなるだけでなく、害虫が発生してしまうこともあるので気を付けましょう。
さらに、長く伸びた芝を一気に短く刈り込むと「軸刈り」となってしまいます。軸刈りとは、芝を茎の部分で切ってしまうこと。軸刈りをすると、芝が茶色く刈れたように見えてしまうのです。
ですから美しい芝生のためには、芝刈りは定期的に行う必要があります。
芝刈りが必要となる時期や頻度は、芝の種類によって異なります。
次は、芝刈りをすべき時期と頻度を、芝の種類別に解説していきます。
芝刈りの時期と頻度を芝の種類別に解説
芝刈りが必要となる時期や頻度は、芝の種類によって異なります。
芝には多くの品種がありますが、日本の庭に利用されているのは「高麗芝」がポピュラーです。
そして、高麗芝の改良種の「TM9」という品種は、手入れ不要の芝として近頃注目を集めています。
高麗芝とTM9それぞれの、芝刈りの時期と頻度について解説していきましょう。
高麗芝の芝刈りは?頻度と時期について
高麗芝は、日本芝の代表格ともいえる品種。日本の庭にもっとも多く使用されている芝です。
高麗芝の特徴は、成長が早くて強いこと。
一般流通が多いため、比較的安価で販売されています。
成長が早いぶん、芝刈りに頻度は比較的高めです。
4~11月にかけては、1カ月に2回の芝刈りが必要となります。
春になって、芝の長さが刈り揃えたい高さの1.3~1.5倍ほどに伸びたら芝刈りシーズンのスタートです。
初めのうちは月に2~3回。芝の成長が早くなってきたら週に1回のペースで芝刈りを行いましょう。
TM9は手入れ不要?「先祖返り」に要注意
TM9は、トヨタ自動車株式会社が開発した品種。管理の省略可と芝生の美しさを追求した「プレミアム高麗芝」です。
高麗芝の改良種となるTM9の販売価格は、高麗芝の約2倍が相場となっています。
トヨタ自動車株式会社の公式サイトによると、TM9の芝刈りは年に1~2回で良いとのこと。
でも実際には、もう少し頻回の手入れが必要となるようです。
その理由は、TM9が「先祖返り」しやすいことにあります。
植物における先祖返りとは、改良前の品種に戻ってしまうことです。
つまりTM9なら、高麗芝に戻ること。
せっかく高額なプレミアムな芝生を張ったのですから、高麗芝に先祖返りしてしまうことはぜひとも避けなければいけません。
そのためには、春先と初夏、秋口と休眠前の年に4~5回には芝刈りを行う必要があります。
というのは、TM9はその時期に穂を出すからです。
穂から落ちた種子が芽を出すことが、先祖返りの原因となります。
ですから種子を落とさせないように、穂ごと刈り取るための芝刈りを行いましょう。
ちなみに、芝は種子がなくても繁殖可能です。
芝にはランナーと呼ばれる地下茎があり、地面をはうように伸びています。
芝はランナーから葉や根を出して生育範囲を広げていくのです。
手のかからないTM9でも、年に数回の手入れは必要です。
メンテナンスの時間が取れない場合は、業者に依頼してみてはいかがでしょうか。
次は、芝生の手入れを請け負っている、おすすめの業者を紹介していきます。
芝生の手入れやメンテナンスにおすすめの業者
芝刈りや目土入れ、エアレーションなどの芝生の手入れを請け負っている業者は、大きく2タイプに分けられます。
全国展開している業者と、地域に根付いた業者です。
全国展開している業者と地域に根付いた業者には、それぞれにメリットがあります。
全国展開している業者から探す
全国展開している業者には、インターネットで探しやすいというメリットがあります。
そのため公式サイトをしっかり作り込んでいる業者も多い点もメリットです。
対象エリアや料金体系が分かりやすく、わざわざ問い合わせる手間が省けるからです。
中には利用者の感想や、過去の施工事例の画像もチェックできる業者もあります。
全国展開している業者の中でもおすすめしたいのは、次のような業者です。
・smileガーデン
・ホームセンター
・コープ
地域の業者を探す
地域で展開している業者には、地元に根付いた造園業者や庭師などが挙げられます。
地元の業者に依頼するメリットは、近場なので相談しやすいことでしょう。
万が一トラブルが起こっても、すぐに駆けつけてもらえる距離感が安心です。
また、近隣住人の口コミや実際の施工事例を確認できるため、インターネットよりも確実な情報が手に入りやすいともいえます。
地域の造園業者や植木屋をインターネットで探すなら、「芝生 手入れ ○○(地域名)」で検索してみましょう。
近くの造園業者や植木屋がヒットするはずです。
業者へ相談する前に、芝生の手入れにはどのくらいの費用がかかるかを知っておきたいですね。
次は、芝刈りやメンテナンスを業者に依頼した場合の、費用相場を紹介していきます。
業者の費用の計算法は「日当制」と「単価制」の2通り
芝生の手入れにかかる費用は、次の2つの方法のどちらかで計算されることが一般的です。
・日当制
・単価制
それぞれの計算方法について、分かりやすく説明していきます。
日当制とは
日当制とは、業者1人当たりの作業料金で計算する方法です。
作業料金には1日単位や半日単位、1時間あたりなど。時給と同じ計算方法と考えれば分かりやすいでしょう。
たとえば、1時間あたり1,000円の業者が2人で3時間作業すれば費用は6,000円となります。
日当制での芝刈りの費用相場は、次の通りです。
・半日+ゴミ処理費用 22,500円
・1時間+ゴミ処理費用 7,500円
業者によっては日当制の場合、土日祝日は割増し料金となることもあります。
単価制とは
単価制とは、作業ごとの費用を設定している計算方法です。
芝生の手入れにかかわる作業なら、芝刈りやエアレーション、目土入れそれぞれの単価が決められています。
芝生のメンテナンスの作業単価は、作業面積によって設定されていることがほとんどです。
面積の単位はさまざまで、1平米 ごとに決められていたり、10平米 ごとに設定されていたり。中には、1坪単位で設定している業者もあります。
そして、芝刈りやエアレーションといった作業費用の合計に、刈り取った芝の処分費用も加算されることが一般的です。
芝の手入れに関する作業それぞれの単価と、処分費用のおおよその相場は次の通りになっています。
・芝刈り 200円~300円/平米
・エアレーション 400~600円/平米
・目土入れ 300~500円/平米
・処分費用 100円/平米・300円/45リットル袋
業者によっては、処分費用に加えて運搬費用も加算されることもあります。
まとめ
美しい芝生をキープするには、定期的な手入れが必要となります。
芝生の手入れとは、目土入れやエアレーション、芝刈りなどの作業です。
芝刈りが必要になる時期や頻度は、芝の種類によって異なります。
高麗芝なら月に1~2回、TM9なら年に4~5回は芝刈りを行いましょう。
芝生のメンテナンスを依頼できる業者には、全国展開している造園業者や地元に根付いた業者があります。
頻回の依頼が必要になる芝生の手入れですから、特に信頼できる業者をしっかり選びたいですね。