生産業者が苗木から育てた庭木を購入して、自分の家の庭に植えるためには、生産業者の圃場から庭木を掘り取ってこなければなりません。掘り取るということは、庭木が何年もかけて地中に張った根を一度すべて切り取るということです。
これは庭木にとって大きなダメージであり、家の庭の土壌に根が活着するまでには時間がかかります。

庭木が新しい土壌に根を張るまでのサポートをする、これが庭木に支柱を立てる主な目的です。
この記事では、庭木に支柱を立てる理由や一般的な支柱の立て方、支柱の種類とそれぞれの特徴について紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

庭木に支柱を立てる理由

ここでは、庭木に支柱を立てる理由について説明します。
支柱は、あくまで植込み直後の庭木を健全に生育させるための補助的道具です。街路樹や広場など、一部の特殊な環境にあるもの以外は、庭木が自立して生育できるようになったら速やかに撤去するべきものだということは覚えておいてください。

根鉢を安定させ均等な成長を促す

根鉢とは、庭から根を掘り取ったり植物を鉢物から抜いたりした時に、根と土がひと塊になった部分のことをいいます。
根鉢は庭木を成長させる源であり、根鉢を崩さないように根巻きや根包みをして運んだり植え付けたりするのが一般的です。

植え付けたばかりの根鉢は、風雨による枝葉や幹の揺れなどの影響を受けやすいため、支柱を立てて安定させます。そうすることで根の活着が促進され、庭木の均等な成長を助けます。

外的な要因から守り被害を軽減する

屋外で育つ庭木は、自然の影響を直接受けます。雨や風はもちろん、地域によっては雪や雹も降りかかってきます。
時には、台風や地震、雷などの自然災害にも耐えなければなりません。

このような外的な要因から、植え付けたばかりの庭木を守り被害を軽減するのが支柱の役割です。
支柱があることで庭木の倒木のリスクは軽減され、折れや曲がりは起こりにくくなります。
支柱のサポートでまっすぐに自立して成長できる庭木は、美しい姿で成長する可能性が高いです。

庭木の種類や立地条件等で変わる支柱

支柱を立てるべき庭木の種類や立地条件について説明します。
丈が低く、幹が発達しない、灌木や低木と称される木本植物は基本的に支柱を必要としません。
ツツジやナンテン、アジサイやシャクナゲなどの種類で、幹と枝とが区別しにくい庭木です。

成長すれば中高木になる庭木は、常緑樹、落葉樹の区別なく支柱は必要と捉えてください。
樹高が数十㎝の苗木でも、竹1本支柱程度の支柱は立てるべきです。
そうしないと、すぐに折れたり曲がったりして、根鉢も安定せず枯れてしまいます。

庭木の支柱の一般的な立て方

庭木の支柱の一般的な立て方について、必要な道具や材料、立て方の手順という2つのポイントで説明します。
ここで説明するのは、一般の方が自宅の庭木に立てるというのが前提の支柱の立て方です。

必要な道具や材料

支柱を立てる時に必要な道具や材料は、以下の通りです。

・支柱材
・麻縄
・杉皮テープ
・ハサミ
・軍手


支柱の材料は、竹や木材、グリーンポール等がよく使われます。屋外で使用するので耐候性は重要ですが、耐久性や外観も考慮してください。
支柱を必要なサイズに切るのであれば、ノコギリなどの切断のための工具、支柱を地面にしっかり打ち込みたい時はハンマーも必要になります。

立て方の手順

次に、支柱を立てる手順を説明します。

①支柱を地面に差し込む

支柱(竹)の一方をとがらせて、庭木に対して約45度の角度で、地面に支柱を深く差し込みます。
支柱は曲がりやすいので、下のほうをもって差し込んでください。

②杉皮テープを巻く

支柱と交差して接触している部分の庭木に、擦れないように杉皮テープを巻きます。
単幹の木は、樹幹(枝や葉が密集している部分)の下に1か所。株立ちは樹高の半分くらいの位置と、その位置と地際の真ん中あたりで1か所、合計2か所に杉皮を巻いてください。

③庭木と支柱を結束する

杉皮を巻いた部分の庭木と支柱を、麻縄を使って結束します。固定が弱いと感じる時は単幹でも2か所結束して、より安定性を高めましょう。
支柱と幹を縛る時は、一度巻いた後に真ん中を通して縛ると安定します。
半年に1回くらいは、幹に麻縄などがくいこんでないかチェックしてください。成長に合わせて、支柱の位置を変える必要性が出てくることもあります。

支柱の種類とそれぞれの特徴

支柱の材料には竹や杉丸太などが多く使用されますが、近年は広場や街路樹を中心に、金属製や樹脂製も流通するにようになりました。
ワイヤーロープや強固なベルト、アンカー等を活用し、根鉢を地下で固定する地下支柱も登場しています。
ここでは、庭木以外に使用されることも多い、鳥居型、布掛、八ツ掛、脇差し、添木の支柱を紹介します。

鳥居型支柱

短い丸太の両端に、2本の長丸太の一端をそれぞれ鉄線で結わえ付け、鳥居の形に組んだものを庭木に取り付ける支柱です。街路樹や広場の庭木のように、大きな控えが取れない場所によく用いられます。
鳥居型支柱の取り付けは、前もって作った組形を庭木のほうに若干傾けて、植穴に建て込んでから結束します。結束部分は、庭木に杉皮を巻いてから、しゅろ縄で結束するのが一般的です。
結束部分は釘打ちにしてから鉄線で結わえて頑丈にすることがあります。
庭木の大きさに応じて、ニ脚鳥居、三脚鳥居、十字鳥居などを使い分けます。

布掛支柱

庭木の高さに応じて、地上から一定の高さに丸太か竹を水平に渡して庭木を結束する支柱で、高密度で列植する場合に使用します。
渡した丸太の最初と最後の他、適宜な場所の地中に支柱を建て込んで固定します。何本かの庭木を一度に取り扱うことが多く、高所の作業になることもあるため、1人での作業は難しいです。

八ツ掛支柱

庭木の高さの2/3程度の丸太か竹を3本、均等になるように差し掛けて、上部で庭木の幹や太枝及び支柱同士を結束して支える支柱です。
支柱の根元は地中に十分差し込んで根杭で固定します。上部の結束部分は、庭木に杉皮をあてて幹が傷つかないようにして、2か所以上でしっかり結束します。

脇差し支柱

高さ3m以下程度の庭木に丸太か竹を斜めに取り付ける支柱で、一定方向に風が吹く場所や勾配のある場所で効果的です。
丸太は地中に十分差し込み、庭木の幹か太枝に杉皮をあてて、その部分を結束します。2か所以上で結束すると、より強固に支えることができます。

添木支柱

支柱の中では一番簡単な方法で庭木を支えます。苗木や若木で使用することが多いです。
幹に沿わせて竹か丸太を地中に立て込み、数か所で杉皮を巻いた幹に結わえ付けます。幹の揺れを防ぐだけでなく、幹を真っすぐに伸長させる効果もあるとされています。

支柱取替え・結束直し・撤去

庭木の樹種や立地条件によっては、継続して支柱を必要とする場合があり、そういう時は支柱取替えを行います。
まず、既存の支柱の取り外しを行いますが、樹木を損傷しないように注意し、根元から完全に引き抜きます。杉皮、しゅろ縄、鉄線、釘等もきれいに取り除き、発生材(ごみ)は適正な処理が必要です。

丸太や竹をはずす時は、振り回して周りの人や物を傷つけないように注意しなければなりません。支柱に打ち込まれた釘や鉄線で、足を踏み貫いたり手に刺したりしないよう、丸太の釘はハンマーで打ち曲げておきましょう。
支柱の再取付けは、それぞれの種類に応じて庭木に確実に取り付けます。

結束直しでは、在来の杉皮、しゅろ縄、鉄線で庭木を損傷しないように丁寧に取り除き、新しい材料で幹に緊密に固着するように杉皮を巻き、しゅろ縄で結束します。
支柱の撤去は、既存の支柱の取り外しと同様の手順で行ってください。

お庭のお手入れなら、スマイルガーデンへ

様々な支柱についてご紹介してきましたが、木の高さやお庭の条件次第では危険を伴うこともあります。個人で可能な作業か?よく考えてから取り掛かってください。

smileガーデンの過去の植栽例から、二つの支柱の種類をご紹介しましょう。

例)①

BEFORE

AFTER

根鉢の部分がきれいに見えていますね。玄関へのスロープに植栽された庭木を「八ツ掛支柱」で支えています。葉が青々として元気な様子です。

例)②

BEFORE

AFTER

お庭で見かけることも多い「布掛支柱」です。何本もの庭木を扱うため、個人ではかなりの重労働となります。プロに頼むとこの通り!きれいな生垣の完成です。


いかがでしたでしょうか?お庭に新しい木が加わるだけで、お庭の「顔」が変わります。元気に育ってほしいものですね。
「木を植える」だけでなく、順調に庭木が成長できる環境を作るのもプロの仕事。
まずは一度、smileガーデンにお問い合わせください!