「シンボルツリーを植えたいけれど、虫がつかない木がいい」と考える方も多いのではないでしょうか。自然を感じ、家族と一緒に成長するシンボルツリーの存在は素敵ですが、植物には虫がつくというデメリットもあります。

残念ながら「絶対に虫がつかない木」というのは存在しません。しかし、虫がつきにくい木を選び、適切なお手入れをすることで、虫がほとんどつかないシンボルツリーにすることが可能です。

この記事では、樹木医で7年間植物メンテナンスの仕事を経験した筆者が、シンボルツリーにおすすめの虫がつきにくい庭木7種をご紹介します。また、虫がつかない木の選び方と、万が一虫が発生してしまった場合の対処法も合わせてお伝えします。

虫がつかないシンボルツリーを目指す!3つのポイント

虫がつかないシンボルツリーを実現するためには、3つのコツがあります。樹種を選ぶ前に、確認しておきましょう。

1.健康な苗を選ぶ

同じ樹種でも、弱っている苗と健康な苗では、後者の方が虫がつきにくくなります。葉が青々としていて、茎や幹が固くしっかりとした、元気で健康な苗を選びましょう。

2.植える地域や場所を考慮して樹種を選ぶ

同じ樹種でも、弱っている苗と健康な苗では、後者の方が虫がつきにくくなります。葉が青々としていて、茎や幹が固くしっかりとした、元気で健康な苗を選びましょう。

3.風通しがよい場所に植え、適度に剪定する

あまり風が通らない環境は、湿気がたまって虫がつく原因に。風通しのよい場所に植え、枝葉が密生してきたら適度に剪定をし、木の内側にも風を通しましょう。

シンボルツリーにおすすめの虫がつかない庭木

ここからはシンボルツリーにおすすめの、虫がつかない庭木を7種ご紹介します。
なるべく育てやすいものを選んでいるので、初めて植物を植える方でも安心です。

虫がつかない中低木のシンボルツリー!おすすめ4選

最初にご紹介するのは、中低木シンボルツリー。大きく育てれば存在感を出せますし、剪定でコンパクトなサイズを保つことも可能です。小さなお庭にも植えられますよ。

1.セイヨウニンジンボク(チェストツリー、チェストベリー)[落葉低木]

セイヨウニンジンボクは夏から秋にかけて、香りのよいうす紫色の花を咲かせます。手を広げたような形の葉や、ふんわりと横に広がって大きくなる樹形も特徴的で、目を引くシンボルツリーになりますよ。

虫がつかないだけでなく、暑さ寒さや乾燥にも強く、丈夫で育てやすい庭木です。真夏の直射日光や西日にも負けずに育ってくれます。

2.ナツハゼ[落葉低木]

初夏にかわいらしい小花を咲かせ、秋には真っ赤な紅葉と黒い実が楽しめるナツハゼ。季節の変化を楽しめるシンボルツリーです。実は収穫して生食やジャムにして食べられますよ。

虫がつかないだけでなく、暑さ寒さや乾燥にも強く、成長がゆっくりで、ほったらかしでも育てられる庭木です。西日には弱いので、朝からお昼頃まで日が当たる場所が適しています。

3.フェイジョア[常緑低木]

夏にエキゾチックなピンク色の花を咲かせ、秋には丸い果実が実るフェイジョア。花びらと実は食べられます。確実に実を収穫したい方は、1株で実がなる品種を購入してください。虫がつかないので、無農薬で花や実を味わえますよ。

日当たりのよい場所に植え、春と秋に固形肥料をやると花付きや実付きがよくなります。暑さには強いですが寒さには弱いので、暖地向きの庭木です。

4.ハイノキ[常緑中木]

ハイノキは、春から初夏に白くかわいい花を咲かせ、夏から秋にかけては黒い実をつけます。この実は鳥が好んで食べるので、鳥が来る庭をつくりたい方におすすめのシンボルツリーです。

西日と寒さに弱いため、暖地の半日陰向きの庭木です。成長がゆっくりで、お手入れはあまり必要ありません。根が浅いため、乾燥に注意して育てましょう。

虫がつかないコニファーのシンボルツリー!おすすめ3選

次にご紹介するのは洋風ガーデンで大人気のコニファーのシンボルツリーです。コニファーの仲間は虫がつきにくく、お庭に1本植えるだけでおしゃれになるのが魅力。冬には飾りをつけてクリスマスツリーとしても楽しめます。寒さに強いので寒冷地でも育てられますよ。

コニファーは根が浅いので、乾燥に注意して育て、植え付け時には支柱を立てておくと安心です。また、高温多湿に弱いので、風通しのよい場所に植えてください。ここでは、比較的丈夫で育てやすいコニファーをご紹介します。

1.ヨーロッパゴールド[常緑中木]

ヨーロッパゴールドは、優しい黄色の葉が魅力。冬には葉がオレンジ色に変わり、季節を感じられるシンボルツリーです。

日当たりのよい場所に植えると、葉の色が美しいです。日陰では緑の葉になってしまうので注意しましょう。成長がゆっくりで、お手入れの手間も少ない庭木です。大きさを抑えたい場合は、2年に1度くらい、刈り込みや剪定で形を整えてください。

2.エメラルド[常緑中木]

名前の通り、エメラルドグリーンの葉が美しいコニファー。冬には黄色の葉に変わり、季節の変化を楽しめます。葉が密生するので、目隠しを兼ねたシンボルツリーにもおすすめです。

ほったらかしでもきれいな円錐形に育ち、成長もあまり早くないので、育てやすい庭木です。また、葉が密生しすぎると虫がつきやすくなるので、2年に1度くらい透かし剪定をして風通しをよくしておきましょう。

3.エレガンテシマ[常緑高木]

名前の通り、すっと伸びる樹形がエレガントな雰囲気のエレガンテシマ。明るい緑色の葉が、さらりと風に揺れる様子も素敵です。冬には赤みを帯びた葉色になるので、季節を感じられますよ。大きく育つ樹種のため、コニファーの大きなシンボルツリーがほしい方にもおすすめです。

日当たりのよい場所に植えると葉色がきれいになります。成長が早いので、理想の大きさまで育ったら1~2年に1回程度、剪定や刈り込みが必要です。

万が一虫がついてしまったときの2つの対処法

環境に合った樹種を植え、適切なお手入れをしていても、その年の気象条件やちょっとした環境の変化で虫がついてしまうこともあります。今回ご紹介した庭木では、イモムシやケムシがつくことはほとんどありませんが、アブラムシやカイガラムシは発生することがあるかもしれません。その場合の対処法を2つお伝えします。

1.虫がついている枝葉ごと切り取る

発生初期でまだ虫の数が少ない場合は、剪定ばさみなどで虫がついている枝葉を切り取って処分しましょう。薬剤を使わないので、人や動物にも害がなく、一番安全な方法です。

2.薬剤を散布する

虫がたくさん発生してしまった場合は、薬剤を使って対処します。筆者のおすすめは、ホームセンターで購入できる「ベニカXファインスプレー」。庭木についたケムシ・アブラムシ・カイガラムシに使える殺虫殺菌剤で、スプレータイプなので扱いやすい薬剤です。

ただし、スプレータイプはカイガラムシやアブラムシには効きづらいのが欠点。これらは木の汁を吸う虫なので、木に薬を吸わせて虫に効かせる「浸透移行性」の薬剤がよく効きます。おすすめは「オルトランDX粒剤」。木の根元にまくだけなので手軽です。こちらもホームセンターで購入できますよ。

まとめ

シンボルツリーにおすすめの虫がつきにくい庭木7種と、虫がつかない木の選び方や、虫が発生してしまった場合の対処法についてお伝えしました。虫の被害を最小限に抑えるためには、こまめにシンボルツリーを観察することが大切。早めに変化に気づければ、虫の数が少ないうちに対処できますよ。

シンボルツリーの植え付けやお手入れ、病虫害対策が自分では難しいという方は、業者に依頼するのもおすすめです。万が一虫がついてしまったときも、虫を見ずに駆除できますよ。

虫がつかない木を植えて、家族とシンボルツリーの成長を楽しみましょう。