目隠しフェンスは圧迫感を感じるし費用も高いから、木や生垣で目隠ししたいが、
虫がつかないようにする方法を知りたいという方は多いです。
木には虫がつきやすいものと、つきにくいものがあります。木に虫をつきにくくする方法もあり、
コツさえつかめば、そんなに難しいことではありません。

この記事では、庭木に虫をつきにくくする方法と、目隠しになって虫もつきにくい木を紹介します。
また庭木で目隠しするのがおすすめの理由についても説明しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

庭木に虫をつきにくくする方法

一般的に、生育条件が整い元気に生長している木に虫はつきにくく、花が咲き実の成る木は虫がつきやすいとされます。
庭木に虫をつきにくくするには、生育条件を整えることと、自分の家の庭木につきやすい虫について知っておくのがコツです。

庭木の生育に必要な条件を整える

庭木を含む植物には、生育に必要な条件が5つあります。以下にポイントをまとめました。

①陽当り
 陽当りは光合成に不可欠ですが、必要な日照時間や温度は植物によって違います。
②水(降雨)、水やり
 水は光合成に必要なだけでなく、蒸散作用によって栄養を循環させます。
③土、用土、培養土
 良い土とは有機物が豊富で微生物がたくさん含まれている土です。
④風通し
 風通しが悪いと光合成の効率が落ちて、病気や害虫が発生しやすくなります。
⑤防虫防除
 重要なのは普段からの予防で、定期的に殺菌剤を散布し、雑草はこまめに取りましょう。
 上記のポイントを押さえておけば、庭木は元気に生長し虫がつきにくくなります。

庭木につきやすい虫について知る

ここでは、代表的な庭木につきやすい害虫を5種類、起こりやすい病気を3つ紹介します。
まず、庭木につきやすい虫です。

・ケムシ全般:蛾や蝶の幼虫で、広葉落葉樹につくことが多く、短期間で甚大な被害を発生させます。

・ハダニ:柑橘類に多く発生し、高温と乾燥を好み、葉の裏に寄生して養分を吸います。

・アブラムシ:種類が多く、観葉植物から野菜までさまざま植物に発生し、養分を吸い取る害虫です。

・カイガラムシ:ほとんどの庭木につきやすく、すす病やこうやく病などの原因になりやすいです。

・コガネムシ:花木や野菜、果樹につくことが多く、幼虫は根を成虫は葉を食害します。次に、起こりやすい病気です。

・うどんこ病:カビの一種で、農作物を中心に雑草や木の葉に感染し養分を吸い取り枯らします。

・すす病:アブラムシやカイガラムシなど吸汁性害虫の排泄物にカビが生えた状態です。

・さび病:糸状菌が原因で、さまざまな植物に発症しますが、特に野菜類での繁殖が顕著です。
      害虫に寄生され個体が弱ると、病気も発症しやすくなるので注意しましょう。

虫に効く薬剤について知っておく

虫に効く薬剤には、予防的効果の大きい浸透移行性剤、水で希釈せずそのまま使えるスプレー剤やエアゾール剤、広い面積に希釈して散布する原液タイプなどがあります。
それぞれで代表的な薬剤を商品名で紹介します。
・浸透移行性剤|オルトランDX粒剤、オルトラン水和剤、ベニカXガード粒剤など
・スプレー剤|ベニカ各種スプレー、GFモストップジンスプレー、MYPLANTSミストなど
・エアゾール|カイガラムシエアゾール、ベニカケムシエアゾール、GFオルトランCなど
・原液タイプ|スミソン乳剤、ダニ太郎、ベニカベジフル乳剤、モスピラン液剤など
その他、ナメクジやネキリムシなど特定の害虫の専門薬も多いです。また有効成分に天然由来や身近にある成分を使用した薬剤もあります。

目隠しになる虫がつきにくい木10選

丈夫で育てやすく、姿も美しいため人気となっている庭木で、目隠しになり虫もつきにくい木を10種類厳選しました。

ヤマボウシ

ヤマボウシは、ミズキ科╱サンシュユ属(ヤマボウシ属)の庭木・花木です。最近では株立ちが主流で、目隠しやシンボルツリーとして人気です。
北海道の南部から琉球列島まで日本各地に分布しています。ハナミズキと違って葉が出た後に開花するので華やかさは少ないのですが、梅雨時(6月中旬~7月中旬)の花木として価値は高いです。
花のように見えるのは花弁ではなく、総苞片(花のつけ根の葉)です。そのため観賞期間は長くなります。花色は白、ピンク、帯緑色で、初心者でも育てやすい落葉樹です。

シマトネリコ

シマトネリコは、モクセイ科╱トネリコ族の庭木・花木で花色は白です。トネリコ属では数少ない常緑樹です。
規則的にならぶ奇数羽状複葉の小葉がそよ風にゆらぐのが涼しげで、降り注ぐ木漏れ日に癒されます。シマトネリコも、柔らかい印象となる株立ちが人気です。
5月下旬から7月にかけて、枝先に白い小花が房のように咲き、結実したタネは白色の翼(よく)を付けているため遠目では花が咲き続けているように見えるのが特徴です。

オリーブ

オリーブは、モクセイ科╱オリーブ属の果樹・庭木・花木です。美しい銀葉が特徴で、特に洋風の庭に合う常緑樹です。
地植えでは5~10mほどにもなる高木で、乾燥や暑さには強いですが、積雪地域では屋外での冬越しは難しいです。そこさえ注意すれば、育てやすい庭木です。
果実は苦く生食はできませんが、果実の大きいものは塩蔵用、果実の小さいものはオイル用に向いています。自家不結実性のため、結実には異品種の混色が必要です。

キンモクセイ

キンモクセイは、モクセイ科╱モクセイ属で、強い芳香のある橙黄色の小さな花を密生させる庭木・花木です。
キンモクセイはギンモクセイ(花が白色)の変種とされ、日本では雄株のみが植栽されているとされています。ヒイラギモクセイは、ギンモクセイとヒイラギの雑種といわれますが原産地は不明です。
キンモクセイは常緑性であり、生垣にも多く使われています。丈夫で日陰でも育つため、初心者にも育てやすい庭木です。

ヤマモモ

ヤマモモは、ヤマモモ科╱ヤマモモ属で、バラ科の桃とは全く無縁の庭木・花木です。葉は光沢のある常緑で、庭木としてだけでなく、公園や街路樹など広く植栽されています。
雌雄異株で4月頃に小さく目立たない花を咲かせ、雌木には初夏に暗紅紫色のやや松脂臭のある果実がなります。果実は生食、ジャム、砂糖漬け、煮物などの材料となりますが、日持ちが悪いため、生食用は市場の流通はほとんどありません。
耐暑性はありますが、耐寒性はやや弱いので注意が必要です。

ゲッケイジュ

ゲッケイジュはクスノキ科╱ゲッケイジュ属で、別名はローリエ、ローレルです。雌雄異株の常緑高木の庭木・花木・ハーブですが、日本では雌株は希少で、大半は挿し木で増やした雄株です。
生育は旺盛で芽吹きは良く、耐暑性があり、生垣や仕立物をつくるのに適しています。ハーブ系なのでほのかな香りがあります。
地中海沿岸が原産地のため耐暑性があり乾燥にも強く、初心者にも育てやすい樹木です。

トキワマンサク

トキワマンサクは、マンサク科トキワマンサク属の樹高3~6mほどになる常緑樹です。しなやかな枝に卵形の小葉をつけ、風に優しくゆれる姿で人気があります。
花は細いリボンのような4枚の花弁があり、枝先に集まるように咲いて株全体を覆うため、遠くからでも美しさを楽しむことができます。
園芸品種には、葉に赤みを帯びるもの、花色が赤いものなどがあります。生垣にも適していて、初心者にも育てやすい花木です。

ソヨゴ

ソヨゴは、モチノキ科╱モチノキ属の高木の庭木・花木です。美しい濃い緑色の葉が特徴で、葉の周囲に鋸歯はなく少しですが葉は波打ちます。
葉が乾いたような質感のため、風にゆれて周囲の葉と擦れあうと独特の音を立てます。春に芽吹いた新梢の葉の付け根から花序が伸び5月~6月に咲く花の色は白色です。
10月~11月に果実が赤く熟しますが、雌雄異株なので果実がつくのは雄株だけです。近くに雌株がないと実がならないこともあります。

カイズカイブキ

カイズカイブキは、ヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉樹です。
大気汚染、乾燥、塩害、雪害に強く、枝葉が密生し、植栽直後から目隠し効果があるため人気の樹種となりました。コニファーの普及とともに、現在では新たに植栽される例は減少しています。
日向を好み、日陰では葉が貧弱になります。ボリュームのある垣根をつくることができますが、大きく育った後で小さく仕立て直すことは難しいです。

コニファー

コニファーは、マツ科、ヒノキ科、イチイ科、スギ科などの常緑樹の総称です。特別な仕立て方をしなくても整った樹形で生育するのが特徴となっています。
中高木だけでなく、低木や這い性、細めの円錐形からこんもりとした丸形に近いものなど樹高や形状はさまざまです。葉色も多種多彩で、同じグリーンやブルーでも濃淡が違うもの、ライムやシルバーを混ぜたような色のものなどがあります。
手間のかからない丈夫な樹種ですが、風通しが悪かったり乾燥し過ぎたりすると、枯れが入ることがあるので注意が必要です。

庭木で目隠しするのがおすすめの理由

庭木での目隠しは、比較的安価で施工できる他、いくつかおすすめする理由があります。

自然に隠すことができる

目隠しフェンスは、外部とプライベート空間を完全に仕切ってしまうイメージが強くなるため、
圧迫感や閉塞感が気になることがあります。
特に燐家との境界に背の高いフェンスを設置すると、「完全に塞がれた」という心象を持たれることが多いです。しかし庭木であれば、庭に植樹するのは当たり前のことなので、自然に隠すことができます。
日当たりや風も完全に遮ってしまうのではなく、ある程度の日照や通気は確保できるため、
息苦しさも感じにくいです。

ピンポイントで隠せる

庭木による目隠しは、ピンポイントで隠せるというのも大きなメリットです。通りから見えるベランダやリビング、一部の窓や玄関の出入りなどを、現状に合った形状やボリュームの庭木を植えることで隠すことができます。
幅1mのフェンスは違和感がありますが、庭木が1本であれば自然な風景になります。
また庭木は、現状に合わせて剪定することも可能なのでデザイン性は高いです。
一口に庭木といっても、高木や中木、低木など大きさは豊富です。常緑と落葉、針葉と広葉など組み合わせ次第で、外観イメージを向上させながら目隠しをすることができます。

庭木の魅力で癒される

庭木や生垣は、緑が目に優しいだけでなく、自然の息吹を感じて癒されます。
また夏場は日差しの照り返しを吸収し、涼しげな木陰をつくってくれます。
花木や果樹を上手く育てることができれば、時季によっては花や実をつけ楽しませてくれることもあるでしょう。
庭木は生きているので管理が必要なこともありますが、新緑や紅葉、可憐な花など季節の移ろいを肌で感じることができた時の喜びは大きいです。