庭木の消毒は、一度行えば大丈夫というわけにはいきません。消毒をせずに放置している庭木には、病害虫が発生しやすくなるからです。
庭木の健康を保つには、1年に複数回の消毒が効果的。人間が害虫の被害に遭わないためにも、定期的な消毒を行いましょう。
また、特定の毛虫に悩んでいるなら、消毒の時期選びが大切になります。
この記事では庭木に消毒が必要な理由を説明し、消毒に適した時期について解説していきます。
また、業者に消毒を依頼した場合の料金相場もまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
消毒とは?庭木を消毒する2つの理由と目的
庭木の消毒には、次の2つの目的があります。
・病気の予防
・害虫の駆除
それぞれ詳しく説明していきましょう。
病気の予防
庭木の消毒は、病気を予防するために行います。というのは、消毒を怠っていると庭木は病気を発生しやすくなるからです。
樹木の病気には、菌が原因となるものがあります。
たとえば、すす病は、カビの一種である「すす病菌」が繁殖して起こる病気です。放置していると、すすのような黒いカビが茎や葉に広がります。カビは光合成を邪魔となり、すす病に侵された庭木は生育不良に陥ることもあります。
また、うどん粉病は「糸状菌」を原因とする病気です。うどん粉病にかかった植物の茎や葉などには、小麦粉をまぶしたように白いカビが広がります。そのまま放置すると植物は枯れてしまうこともあるので、早期の対策が必要です。
このような菌が原因となる病気は、定期的な消毒で予防できます。
害虫の予防
庭木の消毒は、害虫の駆除も目的としています。害虫には樹木の病気を招くものや、人間にとって危険なものもあるからです。
たとえばアブラムシは、樹液を吸うため庭木の成長不良の原因となります。病気の木から木へ渡り歩くことで、ウイルスを媒介することもあるため、早めに駆除したい害虫です。
カイガラムシも、植物から栄養を吸い取ります。カイガラムシに寄生された庭木は生育不良となり、最悪の場合は枯れてしまいます。排泄物がすす病の原因になることもありますので、早めに退治してしまいましょう。
また、毛虫は庭木にとっても人間にとってもイヤな害虫の一種です。葉を食害する毛虫には庭木を食べつくされることもありますし、毒針毛を持つ毛虫には刺される危険もあります。
庭木や人間にとって困った存在となる害虫の駆除するためにも、定期的な消毒を行いましょう。
では、病気や害虫を予防するための消毒は、いつ行うと良いのでしょう?
次は、季節によって異なる庭木の消毒について解説していきます。
庭木の消毒はいつ行うべき?年3回の目的は
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庭木の消毒は、基本的にはいつ行ってもかまいません。定期的に消毒することで、病害虫の繁殖を抑えられるからです。
病気や害虫対策として行う庭木の消毒は、一度行えば大丈夫というわけにはいきません。
細かい回数や時期は気候や樹種によっても異なりますが、たいていの庭木には、年に3回の消毒が理想的です。
冬と春、そして夏に行いたい消毒の、それぞれの目的を紹介します。
冬(1~2月) 予防のための消毒
冬の消毒は、1~2月の寒い時期に行います。
病原菌や害虫は、基本的に活動を停止している季節ですが、害虫の卵は存在しているからです。
卵のうちに消毒して駆除しておくことで、春先の害虫の発生を大きく抑制できます。
春(3~5月) 殺虫のための消毒
春の消毒は、3~5月に行います。
冬に消毒していても、残念ながら病原菌や害虫を100%の駆除することはできません。気温が高くなると、病原菌や害虫は活発に動き始めます。
この時期にもう一度消毒して、被害が少ないうちに駆除しておくことが大切です。
ただし、春は新芽の季節でもあります。柔らかい葉や芽は薬剤の影響を受けやすいため、薬剤選びは慎重に行いましょう。
夏(7~9月)庭木を守るための消毒
7~9月は、病原菌や害虫がもっとも活動的になる季節です。カビやダニの発生率も高く、消毒が欠かせない時期になります。
この時期には、複数回の消毒が理想的です。一度の消毒ではすべての病原菌や害虫を駆除しきれないからです。
こまめに消毒を行って、庭木の健康を守りましょう。
冬と春、そして夏の消毒で、基本的な病害虫は予防可能です。
でも、毛虫対策が目的なら、消毒の季節は異なってきます。
次は、毛虫に特化した消毒の適期を紹介していきましょう。
毛虫対策はいつ行う?毛虫の種類別にみる消毒適期
毛虫の駆除は、卵からかえってすぐに行うことがポイントです。というのは、小さなうちは集団で生活するため、まとめて退治しやすいからです。
毛虫が大きくなると、バラバラに活動を始めます。毛虫が庭木全体に広がってしまう前に、できるだけ駆除してしまいましょう。
でも、毛虫の種類は非常に多く、種類によって発生時期もさまざまです。基本的には春から秋に発生しますが、中には冬に現れる種類もあります。
毛虫対策のために消毒するなら、毛虫の種類別の発生時期をチェックしておきましょう。
チャドクガの幼虫
チャドクガの幼虫は、ツバキやサザンカに発生しやすい毛虫です。卵の状態でも毒毛があり、毒毛は風に吹かれて飛ぶこともあります。
そのため、触れなくても毒毛が皮膚に刺さることもある非常に厄介な害虫。庭木をぼろぼろに食べつくしてしまうこともあります。
チャドクガの幼虫対策には、孵化する4~5月頃か葉の茂る8月、または卵の状態の冬の間に消毒を行いましょう。
イラガの幼虫
イラガの幼虫は、サクラやバラ科の植物、ウメやカエデなどのさまざまな樹木に発生します。
刺されるともっとも痛いといわれる毛虫で、電気が走るように痛むことから「デンキムシ」とも呼ばれます。
イラガの幼虫は5~9月頃に、毎年1~2回の頻度で発生します。予防するには、7~9月頃の消毒が効果的です。幼虫が小さいうちに、しっかり駆除してしまいましょう。
マイマイガの幼虫
マイマイガの幼虫は、サクラやクヌギ、シラカバやカラマツなどの落葉樹を好みます。
別名は「ブランコ毛虫」。高いところにのぼり、吐いた糸にぶら下がって風に乗って移動するからその名が付きました。
マイマイガの幼虫の孵化は4月上旬頃で、孵化直後は毒針毛を持っています。農作物を食害したり、大量発生して森林に被害を及ぼしたりする非常に厄介な害虫です。
マイマイガの幼虫対策としての消毒は、4月上旬から5月頃に行いましょう。大きくなると消毒効果が出にくくなりますので、早めの対策がおすすめです。
アメリカシロヒトリの幼虫
アメリカシロヒトリは、非常に繁殖力の強い蛾です。
クルミやサクラ、ハナミズキやプラタナスなどの落葉樹を好んで産卵し、1匹で700~1000個の卵を産むとされています。産まれた卵は1週間ほどで孵化。幼虫に毒性はないものの、集団で樹木を食い荒らします。
幼虫の発生時期は、6月上旬~7月中旬と8月上旬~9月中旬の年に2回です。アメリカシロヒトリの幼虫対策には、この時期に消毒を行いましょう。
老齢な幼虫には薬剤が効きにくくなりますので、小さいうちの対策をおすすめします。
カレハガ類の幼虫
カレハガは、日本に約20種類いる蛾の一種です。マツ類に発生するマツカレハや、カシ類に発生するクヌギカレハなどがあります。
幼虫の発生は秋で、幼虫のまま越冬します。
毒針があり、繭化してもその繭にも毒針毛を持つ、危険な害虫です。毒針に刺されると激しく痛み、のちに痒みとなり、発熱することもあります。
カレハガの幼虫の発生時期は、マツカレハなら7~8月、クヌギカレハなら5月頃です。
消毒を行うなら4月頃の、越冬幼虫の活動時期が適期となります。
毛虫対策としての消毒は、幼虫の出没前に行っておくことが大切です。
とはいえ、毛虫の発生後の消毒も決して無意味ではありません。対象となる毛虫に適した薬剤を使用すれば、消毒の効果は得られます。
ただし、庭木の種類によって使用できる薬剤は異なりますので、しっかり確認して選びましょう。
薬剤を正しく選び、ムラなく散布することは、庭木の消毒作業においてかなり重要なポイントです。
難しいと感じたら、プロの手を借りてみてはいかがでしょうか?
庭木消毒の業者はどこで探す?おすすめの業者
庭木の消毒を請け負っている業者は、大きく2タイプに分類できます。
全国展開している業者と、地元に特化した業者です。
全国展開している業者
全国展開している業者のメリットは、インターネットで探しやすいところです。
公式サイトをしっかり作っている業者も多く、対象エリアや料金体系が分かりやすい点もありがたいですね。
全国展開しているおすすめの業者は、次の4軒です。
・smileガーデン
・お庭の達人
・ホームセンター
・コープ
地域に特化した業者
地域の植木屋でも、庭木の消毒を請け負っていることがあります。
近場ですから相談しやすいですし、万が一庭木が弱ってしまった場合に駆けつけられる距離感が安心です。
地域の植木屋をインターネットで探すなら、「植木屋 ○○(地域名)」で検索してみましょう。
近くの造園業者や植木屋さんがヒットするはずです。
業者へ相談する前に、庭木の消毒にはいくらくらいかかるのかを知っておきたいですね。
次は、庭木消毒を業者に依頼した場合の料金相場を紹介していきます。
業者に依頼するといくら?庭木消毒の料金相場
庭木の消毒にかかる料金の設定方法は、業者によって異なります。
よく使用されているのは、次の2通りの計算方法です。
・単価制
・日当制
それぞれ分かりやすく説明していきます。
1本あたりで計算する単価性
単価制とは、庭木1本の消毒料金が○○円と設定されている方法です。
たとえば1本あたり1,000円の業者に3本の消毒を依頼すれば、作業料金は3,000円となります。
単価制では、庭木の高さによって価格が定められていることがほとんどです。
庭木の高さ別に、料金相場を算出してみました。
・低木(1~3m) 1,500~2,000円
・中木(3~5m) 3,000~4,000円
・高木(5~7m) 6,000~9,000円
単価制を取り入れていても、最低金額が決まっている業者では1本だけの消毒は請け負っていないこともあります。
業者を選ぶ際には、しっかり確認しておきましょう。
作業時間で計算する日当制
日当制とは、業者1人当たりの作業料金で計算する方法です。
作業料金には1日単位や半日単位、1時間あたりなど。時給と同じ計算法と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、1時間あたり2,000円の業者が1人で3時間作業すれば6,000円になります。
日当制の料金相場は、次の通りです。
・1日あたり 15,000~30,000円
・1時間あたり 2,000~3,000円
日当制で気を付けたいのは、業者の人数が増えれば料金が倍化することです。
職人の手際の良し悪しでも料金が変わってくるため、業者選びは慎重に行いたいですね。
この他にも、消毒に使用する薬剤の量で計算する業者や、作業面積で料金を設定している業者もあります。
どの業者でも庭木の高さや環境、季節によって設定価格が変動することもありますので、見積もりはしっかり確認しましょう。
まとめ
消毒は、庭木や人間の健康を守るために必要な作業です。
基本的にはいつ消毒してもかまいませんが、冬・春・夏の3回は必ず行いましょう。
特定の毛虫予防には、消毒の時期を選ぶ必要があります。
樹木のプロに相談して、お任せしてみてはいかがでしょうか?