ビワの木は剪定せずに放っておくと、樹高4～5mと大きく育ちます。高所の実が収穫がしにくくなるだけでなく、日当りが悪くなったり栄養が十分に行き届かなかったりするので、定期的に剪定をして樹高を抑えたり、間引いたりしましょう。

ここでは、ビワの木の剪定時期について説明します。

ビワの木の剪定方法には、樹高や樹形をコントロールするために行う強剪定と、不要な枝葉を落とす軽剪定の2種類があります。

剪定に適した時期や可能な時期は、剪定の種類によって異なります。

ビワの木の強剪定は、花が咲き終わった後の2月～3月中旬に行うのがベスト。実を収穫したい場合は、花が付いた部分に気を付けて剪定する枝を選ぶようにしましょう。春は成長期の前なので、剪定によるビワの木への負担も最小限に抑えられます。

ビワの実の収穫が終わってから翌年に咲く花芽が付く前の7月～8月のタイミングで、必要に応じて軽剪定を行います。夏の間に伸び過ぎて樹形を崩してしまった枝や枯れた枝などを間引く程度の、軽めの剪定を行いましょう。

実（ミ）は基本的に花が咲き終わった後に、それが実に変わります。そのため、実そのものはもちろん、花や花芽を剪定してしまうと、実の生る量は減ってしまいます。

しかし、ビワの木の花芽ができるのは8～10月頃、花が咲くのは11～2月頃、さらに実ができ始めるのは4～6月頃、収穫期は7～8月と、ビワの木は1年中、実をならすために関係する日々ばかりで剪定をする隙がありません・・・。

そのため、収穫を早めに行い、7月～8月のタイミングで必ず剪定しましょう。

ビワの木の剪定を自分でしたいという方のために、剪定に必要な道具や基本の剪定方法を紹介します。

また、ビワの木の剪定で失敗しないための注意点も紹介するので、剪定に挑戦する前にご一読ください。

ビワの木の剪定に必要な道具は以下の通りです。

ビワの木の剪定で最も活躍するのが、ペンチのような形をした剪定用のハサミです。直径1～2cm程の枝を切るのに使います。

剪定バサミには、バイパス式とアンビル式の2種類があります。バイパス式は上下の2枚の刃を交差させて枝を切断するタイプで、生きた枝を剪定するのに向いています。アンビル式は下刃が受け皿状になっているのが特徴で、硬い枝や枯れた枝を剪定するのに向いています。

剪定バサミはバイパス式もアンビル式もサイズがいろいろあります。手の大きさに合わせて使いやすいものを選びましょう。

剪定バサミで切れない直径2cm以上の太い枝を切る時に使います。剪定用ノコギリは、木工用ノコギリと比べると細身で、生きた枝が切りやすいよう刃の目が粗いのが特徴です。剪定用ノコギリもサイズがいろいろありますが、最も一般的で使いやすいのは長さ25〜30cmぐらいのノコギリです。

植木バサミは通常のハサミの形をした園芸用のハサミで、直径1cm以下の細い枝を切る時に使います。

太い枝を剪定した後の切り口に塗ります。ビワの木の剪定で使う癒合剤としておすすめなのは、トップジンＭペーストやカルスメイトなどです。

ビワの木の剪定では必ず剪定用の手袋を着用しましょう。剪定中に枝の切り口や刃物などで手指を傷つけるのを防ぎます。手のひら側が樹脂コーティングになっているものは、剪定バサミやノコギリが滑りにくく安全です。

手の届かない高さの枝を切る時には、脚立を使用します。脚立には脚が4本ある四脚タイプと、脚が3本ある三脚タイプの2種類がありますが、造園業では地面が凸凹した屋外でも安定しやすい三脚タイプを使うのが一般的です。

熊手（剪定した葉や枝を集めるのに使用します）、箕（ちりとり代わりに使います）、シュロ縄（切ってはいけない枝を一時的にまとめておく）フレコンバッグ（枝葉を入れるごみ袋です）などがあると便利な道具です。

ビワの木は樹高4m～5mと大きく成長します。剪定せずにいると見た目が悪くなるだけでなく、枝葉の成長に栄養を取られて実付きが悪くなり、高所の実も収獲しにくくなるため、定期的な剪定を行いましょう。

また、ビワの木には直立性で上に向かって育つタイプのものと、枝が横に広がりやすいタイプがあり、剪定の仕方が異なります。直立性の代表的な品種は「茂木」「ふくはら」「とみふさ」「ながさきわせ」「とごし」など。
一方、枝が横に広がりやすい品種は「田中」です。

強剪定では、品種ごとの成長の特徴に合わせて切る枝を選びましょう。

①木の全体を見て、剪定後の樹高や樹幅をイメージする。
②枝が真っすぐ上に伸びる品種では、木の中心部にある主幹を切って樹高を抑える。
②枝が広がって伸びる品種では、枝が重ならないように、主枝が左右入れ違いになるよう剪定する。
③重なった枝、内側に向いた枝、真っすぐに上に伸びている枝、枯れた枝などの不要な枝を付け根から切り落とす。
④切り口に癒合剤を塗る。

①木の全体を見て、枝や葉が込み合っている部分を見つける。
②枯れている枝や内側に向かって生えている枝、他の枝と交差している枝など不要な枝を取り除く。
③ひこばえは根元から、徒長枝・枯れ枝・胴吹き枝・からみ枝などの不要枝は基部から切る。
④切り口に癒合剤を塗る。

ビワの木の剪定で注意したい点は、以下の通りです。

①花芽と葉芽を見分ける
ビワの花芽は8月～10月頃に形成され、11月～2月に花が咲き、5月～8月に収穫できます。花芽が付いてから実が収穫できるまでほぼ1年かかるため、剪定する時には花芽と葉芽を見分けることが必須です。花芽は丸みを帯びており、葉芽は尖っています。

②枝を切り過ぎない
ビワは生育旺盛ですが、一年かけて花を咲かせ果実を実らせます。一度の強剪定で枝を多く落としてしまうと、木への負担も大きく、樹勢が弱まる可能性があります。数年放置して枝が伸び放題になっているビワでも、一度の剪定でバッサリ切るよりは、2～3年に分けて剪定するようにしましょう。

③太めの切り口には癒合剤を塗る
強剪定の際に太い枝を切った場合、切り口から雑菌が侵入したり、切り口から出た樹液に害虫が集まったりする可能性があります。切り口には癒合剤を塗布して保護をしましょう。

ビワの木の剪定は、剪定道具さえ一通り揃えておけば、樹高3m程度までなら素人でも十分にできる作業です。しかし、ビワの木は成長すると樹高5mくらいまで大きく育つこともあり、大きく育ったビワの木を剪定するには脚立が必要で、剪定後の枝葉の始末も大変な作業です。

多忙で庭仕事をする時間が取れない方や、自分で剪定する自信がない方には、造園業者・庭師に剪定を依頼するという手もあります。

ビワを自分で剪定するメリットとデメリットを紹介します。
自分で剪定するか業者に依頼するかで悩んでいる方は、メリットとデメリットをよく比較した上で判断してください。

・剪定道具を揃えてしまえば、ほぼ費用がかからない
・自分のスケジュールで剪定できる
・満足感や達成感が得られる

・剪定道具の購入に費用がかかる
・剪定道具の収納場所が必要になる
・脚立や刃物を使った作業でケガをする危険性がある
・剪定後の枝葉ゴミを自分で処理する必要がある
・時間が取られる
・脚立から落下する可能性

ビワの木は樹高5mくらいまで大きく育つこともあり、脚立を使った高所での剪定作業や、剪定後の枝葉の後片付けをするのは大変な作業になります。
また、剪定時期の判断、剪定する枝の選別や切る箇所、花芽と葉芽の見分けなどは、ビワの木の剪定に慣れていないと難しいかもしれません。

そのため、ビワの木の剪定に少しでも不安を感じる場合は、剪定のプロである造園業者や庭師に剪定を依頼することをおすすめします。

ビワの木の剪定を請け負っている業者は、スマイルガーデンのような全国展開しているチェーン店がおすすめです。ウェブサイトからお住まいの地域にあるチェーン店を検索でき、オンラインで見積もりも取れます。

地元の庭師や造園業者から探す場合は、近所の人や知り合いが実際に使ったことがある業者の中から評判の良いところを選ぶのが安心です。ネット検索で探す場合は、口コミやレビューなどを参考にしましょう。

業者に剪定を依頼するまでの流れは以下の通りです。

①業者に直接電話をかけるか、ウェブサイトの問い合わせフォームを使って、ビワ剪定の相談をしてみましょう。剪定してもらいたい樹木の種類、高さ、本数などを伝えましょう。

②オンラインや電話だけで剪定料金を提示してくる業者もありますが、現地調査しないと正確な見積もりが出せないことも多いです。まずは業者に現地を見に来てもらう日時を決め、見積もりを出してもらいましょう。現地調査と見積もりまでは無料で行ってくれる業者が多いです。

③できれば最低3社から相見積もりを取りましょう。見積もり金額と業者の対応を総合的に比較して、依頼する業者を選びましょう。剪定料金全額を前払いを求めない業者だと、最後まできちんと対応してもらえるので安心です。

ビワの木の剪定は自分で行うことも可能ですが、プロの業者に依頼するメリットも多くあります。ここでは、造園業者や庭師に頼むメリットについて解説します。

ビワの木は品種によって育ち方に特徴があります。直立性のビワなら主幹を切って樹高を抑える、枝が広がるタイプなら枝が重ならないように左右入れ違いになるように切るなど、剪定作業にはコツが必要です。

造園業者や庭師に依頼する最大のメリットは、木の状態や枝ぶりを見ながら適切に枝を切り、健康的で見た目の良い庭木に仕立て上げてもらえることでしょう。

剪定に必要な道具を揃えたり、実際に剪定作業をしたり、後片付けをしたりと、自分で剪定するには時間がかかります。仕事が忙しくてなかなか休みが取れない方、せっかくの休みの日は趣味や家族の団らんに費やしたい方は、業者に剪定をしてもらうのが良いでしょう。

ビワの木の剪定では、剪定後には大量の枝葉ゴミが発生します。自分で剪定する場合は枝葉ゴミの処分も自分で行わなければならず、お住まいの自治体の規定に基づいて枝を一定の長さで切り揃えたり、細かな葉や小枝をゴミ袋に詰めたりするのに大変な労力を要します。
しかし、業者に剪定を依頼すれば、枝葉ゴミの処分まで行ってもらえるので安心です。

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